業務用米はどんどん値上がりしている
業務用のお米はどんどん値上がりしているということをご存知ですか?
昨今食の多様化とさらに炭水化物抜きダイエット=糖質制限ダイエットが当たり前になって来たこともあり、お米の需要はどんどん減っているというイメージがあると思います。
しかし、それはあくまで一般家庭がお米を炊くことが減っているというだけであって加工用に使うお米はどんどん値上がりしています。つまり、加工用=業務用のお米を作る農家が減って来ています。
ではコメ農家は何を作っているのか?というと「飼料米」。
家畜の餌として作る飼料米は人間が食べるようにお米は糖精する必要はありません。
玄米のままです。さらに等級なども気にする必要がありませんので、農家としては加工用米を作らずに手間のあまりかからない飼料用米を作っています。
そtれもあり加工用米の供給が間に合わず値段が上がってます。
さらに日本酒ブームや去年あたりから甘酒ブームもあり需要はあるのに供給が足りない状況もあり確かに値段は1.2倍ほどに値上がりしています。
もちろん輸入米を使えば国産米と比べればかなり安いですが、「国産米」が良いという日本人は今も結構います。
主食のお米は値上げしにくい
やはり日本人にとってお米は主食。昔に比べれば需要は減ってるとはいえ主食には変わりありません。その主食のお米の値段が家庭で値上がりするということはダイレクトに家計に響きます。そうなると米離れの人たちも増えていくでしょう。
お米をそのまま使う業者は大変ですが、味噌屋としてはいかに付加価値を与えて良い商品を作ってお客様に届けていくかが課題となります。
輸入米に頼るのは簡単ですが、それを消費者の方達は求めていません。加工用米=業務用米をどれだけ安定して確保していくか?これも課題になりますね。
日本のお味噌の傾向
東は濃く西は薄い
お味噌の色の傾向としては、東側に行けば濃く西に行けば行くほど薄くなる傾向にあります。
うどんのお汁と同じですね。
これはあくまで一般的な合わせ味噌の傾向であって、それ以外はまた別です。
例えば名古屋の八丁味噌。これは当然ながら赤味噌ですねので当然色が濃いというか黒い。
後、九州地方は基本は麦味噌が多いです。これも地域の特徴です。麦味噌も一般的には濃いです。
白味噌が有名なのは京都と香川。ここは主に白味噌を作ってるところが多いです。
関東地方は濃い色のお味噌が多いですね。
日本海側に行くと、米粒が残ったお味噌が結構多いです。
「日本海味噌」が有名ですね。
ただ、最近の傾向としては全国的に薄めの色のお味噌が好まれているようです。
確かに大手マルコメのお味噌も主流のお味噌はそんなに色が濃くありません。
当店「かわばたみそ」の主力の「中辛」もマルコメの主力商品の料亭の味と似たような色合いをしています。
これからのお味噌はこれくらいの色のお味噌が主流になってくるのでは?と思っています。
味噌作りのポイント
味噌作りに必要なものとしまして、米麹と大豆、塩です。
ここでさらにあると美味しいお味噌が出来上がるものがあります。
それは炊き冷まし水と種味噌。
炊き冷まし水とは1回沸騰させて殺菌した後に冷ました水の事。この水を米麹と大豆を撹拌(混ぜる作業)するときに入れると馴染みやすくムラのない味噌が出来上がります。これがないと大豆と米麹が中々混ざらずムラがあるお味噌ができてしまいます。
さらに種味噌。これは味噌業界では当たり前ですが、自分たちの味噌を整えるために入れる味噌。普段のお味噌でも構いませんし、少し長めに寝かせたお味噌を使っても構いません。
毎回のお味噌を作るときに味がバラバラではなんの強みにもなりません。自分たちの原点であるお味噌の味を入れて整えるために必要なのが種味噌。
ご家庭でお味噌を作るときにも全部使い切らずに次回の種味噌として少し残しておくと良いかもしれませんね。
撹拌できたらミンチを通すのがオススメ。
ミンチがないとこれも味が整いません。米麹がたくさん含まれてる箇所とそうでない箇所が出て来てしまいます。
粒ありのお味噌が好きな方でも一度はミンチに通すことをオススメします。
この段階でミンチを通しても粒が全くない状態まではなりませんので。作ったばっかりのお味噌は水分があまりなくミンチもそこまで細かく砕くことはできません。
粒なしのお味噌が好きな方は数ヶ月置いて水分をしっかりと保ったお味噌が出来上がってからミンチにかけましょう。この状態だとミンチが通りやすいです。
大豆を浸水させる温度は夏と冬で違う
大豆の浸水時間は夏と冬で違います。
思ったよりも夏場は水をよく吸収します。逆に冬場は中々水を吸収しません。
夏場の熱い時は12時間も浸けておけば充分に水を吸収して柔らかく大きな大豆になり、この状態で大豆を蒸すのがベストです。
冬場は中々水を吸収しないので16時間は最低欲しいところです。
水だと時間がかかるのであればお湯で浸水させても構いません。
自宅で味噌作りをするのであれば、部屋の温度も大事です。
いずれにせよ、やり過ぎはありませんので充分な時間を使って大豆を柔らかくして置いてください。
これが少し芯が残るようだと蒸す時間もかかってしまいますし、蒸した後の大豆をすりつぶす際も綺麗にできません。つまり良い味噌が出来ません。
一番麹菌が繁殖する温度とは?
麹菌が一番繁殖する温度ってご存知ですか?
麹菌が一番繁殖する温度は人肌の温度、36度〜37度前後です。
この温度で米麹を作ると非常に麹の糀が咲きます。
もちろん温度だけではありませんが、これ非常に大事ですね。
ちなみに麹菌が死滅する温度が80度以上。
無添加味噌なのに冷蔵庫においてない味噌は一回煮沸して麹菌の発酵を止める、いや麹菌が死んでしまってるんですね。
勘違いしている方多いですが、60度以上で麹菌が死滅すると思ってる方多いですが、死にませんよ。
麹菌の繁殖が弱まるだけです。
ちなみに甘酒は60度が一番糖度が出やすいです。これは一回出来上がった米麹を使って甘酒を作るから人肌の温度にする必要はないんですよね。
つまり一回完成した米麹を使うので、生の活きた麹菌が入った甘酒を作りたいなら60度。
糖度が一番出やすく、麹菌が死滅しない弱まる温度設定です。
米麹を自分で作るって方は少ないでしょうが、甘酒を自分で作る方は多いと思いますのでご参考に
らっきょうの効果効能はない!?
らっきょうが最近テレビで取り上げられていますね。
血液サラサラ効果があるとか、狭心症に効果あるとか。
以前にもトマトなんかも血液サラサラ効果があると話題になりましたね。
しかし、食品を作ってる我々からすれば結局はバランスのとれた食事が一番良いと思うんですよね。
らっきょうが良いから、トマトが良いから、甘酒が良いからと。
もちろんこれらを普段の食生活にアクセントで取り入れるのはかなり有効。
しかしそれだけを食べる生活なんてありえませんから、結局のところそれが身体にどれだけ良いのか分かりません。
あくまでその食品にはこういう効果がある言われてるだけですから。
例えば、お米。これも炭水化物な訳ですから糖質に変わります。じゃあ身体に悪いのか?と言えば違いますよね。
ご飯だけを3杯毎食おかずや野菜も取らずに生活する人ってほとんどいないでしょ?
つまりはバランスです。
少し炭水化物の量を減らしてバランスよく食事する。これが大事になってきます。
ちなみにらっきょうですが
・消化不良
・胃もたれ
・ストレス
・神経痛
なんかにも効果あると言われていますが。。
これらが本当かは置いておいて、らっきょうには「酸化アリル」というビタミンB1の吸収を7倍に高めてくれる物質が含まれていることは分析で分かっています。
ビタミンB1を多く含むものと言えば「甘酒」。
こういう入っている成分が科学的に分かっているものに関しては信憑性ありだと思っています。
しかしいずれにせよ取りすぎは注意。
らっきょうならば取りすぎると胃もたれ、甘酒なら糖尿病などいくら健康に良いと言われている食品でも取りすぎ注意でバランス考えて食事をしていきたいですね。
米麹に使うお米はどれくらい精米するか?
米麹に使うお米は出来るだけ白く精米されたお米を使うのが良いです。
米麹自体の出来上がりの色が全然違います。
少なくとも上白までは白く精米しておきたいところです。
より白く精米すると玄米からの目方がかなり減ります。
例えば30kgの玄米180本ならかわばたみそで使う米麹用に精米してもらうと、165本くらいまで量が減ります。
15本分。およそ450kg近くの米ぬかが出来てしまいます。
勿体ないですが、それくらいしないと白くて綺麗な米麹は出来ませんので妥協はしません。
米麹に最適なお米とは?
米麹を作る際に最適なお米はどんなものが良いでしょうか?
一般的に美味しいお米を使うと良い麹になるか?と言われればそうではありません。
例えば、北海道の「ゆめぴりか」。
これはご飯として炊くと非常に美味しいお米です。
もっちりとして柔らかくよくもち米みたいと言われています。
しかし、いざ米麹として使うとなると柔らかすぎて非常に扱いづらいです。もちろん甘酒の蒸米として使うには良いかもしれません。
米麹として使う分にはお米とお米がくっ付きすぎて技術が必要です。
米麹を作るのに良いお米というのは新米が1番水分含水量も多く、麹の糀も咲きやすいです。古米だと新米に比べて水分含水量が少ないのでお米を洗米した後に浸水させる時間を長く取らなければいけませんし、また蒸す時間も長くなります。この辺りは経験で新米ならこの時間、古米ならこの時間とその時々のお米の状態で都度変えていかなければなりません。
新米は水分含水量が多く、お米とお米がくっ付きやすいので「床もみ」をするには作業が大変ですが、その分非常に良い米麹が出来上がります。
また新米でも3ヶ月、半年と時間が経てばそれだけ水分含水量が減っていきますので米麹を作りやすくはなりますが、米麹のバラツキなども出てきす。
さらに夏場は湿度が高く水分を吸収しやすいので浸水時間は短めに、冬場は湿度も低く水分を吸収しづらいので浸水時間は長めにするのが良いでしょう。
お米にもよりますが夏場なら12時間〜14時間ほど、冬場なら16時間ほどは浸水しておきたいところです。
米麹は麹菌という活きた菌を扱う繊細な食品ですので、これを上手に作れるようになればお味噌作りも楽しくなりますよ。
米麹を作る際に絶対必要な作業、床もみとは?
米麹を作る際に絶対に必要な作業として床もみがあります。
このように蒸した米に麹菌を散りばめ少し寝かせた後に人間の手で米を傷つけて麹菌が浸透しやすいようにしていきます。
この作業は蔵によって行う時間帯が違います。次の日の朝に職人の手で行うところが多いと思います。
かわばたみその場合はその日の夕方、次の日の朝に行います。
その日のうちに床もみをしておくことで次の日の朝までに麹菌がお米の中まで行き渡りやすいです。
後は次の日の朝にある事を行うだけです。
これは企業秘密。やってないところもありますが、かわばたみそではこの方法を昔からずっと行なっていて良い米麹が出来上がります。
麹菌が綺麗に繁殖するには湿度と温度。これを人間の手で管理します。季節によってもその時の米麹の出来によっても変わってきます。
米麹は結構な手間がかかる作業ですが、ここを怠ってしまうと良いものが出来ません。味噌屋にとっては命とも言える米麹作りです。